Objectif
見島 弥生
作者によるコメント
日常の中には、ふと目を奪われる美しい現象が数多く存在します。それらをカメラに収め、他者に見せようとしても、光や色、動きの美しさをそのまま伝えることができないことに、もどかしさを感じることがあります。そこで、私自身が見せたい現象とは何かを考え、重なりがより綺麗に可視化される透明なフィルムに、像を明確に提示しないようぼかしや網点加工を施した写真をプリントしました。あえて作品の真ん中を設定せず、鑑賞者の位置や角度、動きによって、フィルム同士が重なりあうことで新たな柄や色味がその都度生まれ、異なる見え方が立ち上がります。本作では固定された像を持たせず、鑑賞者それぞれが自身の感覚や記憶と結びつく何かを見つけていくことを促し、像を完成させることを目的とせず、見る行為そのものが意味や存在を立ち上げる過程であるという考えを大切にしています。
担当教員によるコメント
見島は、写真に映る像をぼかし、網点をかけることで被写体の具体的な意味を曖昧にする。そのイメージは透明フィルムに印刷されて同心円状に吊り下げられ、鑑賞者は周囲を移動しながら像の重なりに対峙する。
フィルム群は、立ち位置や視点の移動によってその都度色彩や現象を変化させ、曖昧な像の間に様々な関係性を生じさせる。被写体の意味を具体的に完結させるのではなく、あえて曖昧にすることで、複数の像、さらには鑑賞者自身の遠い記憶にまで呼応し、それらを接続して連結させていくところが彼女の作品のコアとなるだろう。
日常において写真は常に明確な意味解釈で終始しがちだが、鑑賞者の視覚体験を通じ、新たな意味生成の場へと変換させた点が高く評価できる。
教授・大島成己
- 作品名Objectif
- 作家名見島 弥生
- 素材・技法技法=インクジェットプリント/素材=透明なpetフィルム
- サイズサイズ可変
- 学科・専攻・コース
- カテゴリー
- 担当教員

