女性像

坂田 虹花

作者によるコメント

私はこれまで忘れたくない記憶や、愛情を大切にしながら制作を進めてきました。
この作品も引き続き同じ想いをのせています。

この女性像は妊婦さんを表しており、全体的に抽象化されたしなやかな曲線の中に、母親の優しい表情であったりはっきりとした意志が手として表されています。
以前から女性性についても考えている中で、人々から崇拝されてきた聖母マリア様が思い浮かびました。このような象徴的な母親像にも興味がありました。
母親の愛とは何か。
太陽のように全てを包み込む大きな光であり、台所で野菜を切っている優しく静かな後ろ姿であり。
自身の母親の愛というものが大きな存在であると実感しており、自身の母親と聖母マリア様のような象徴的な母親像の両方の要素を取り入れた作品を制作しました。

担当教員によるコメント

妊婦であろうか、膨らんだお腹にそっと手を添え静かに佇んでいる。虚な表情には微かな愁が感じられその視線は観るものの意識を捉え作品世界へと誘う。推考を重ね練られたフォルムは地平に凛と立ち上がってより強い内面表現へと向かっている。作者の素材に対する繊細な意識が抑制の効いたメチエとなって現れ、彫刻の存在世界とヒューマニズムとが見事に結実している。物質↔︎主題↔︎メチエ=「存在」は彫刻の命題である。

教授・水上 嘉久