Telling the truth

小林 菫

作者によるコメント

「私たちが本当に感じるべきものとは?」現代社会で、私たちは実際に体験したことのないものでも価値を知った気になってしまう。私は、不安を感じる。服は単なる物質ではない。精神や想い、素材の力が宿っている。その力で布が立ち上がり、浮き立ちゆらゆらと身体を覆っていく。この服に触れ、包まれ、重さや温度を感じることによって私たちが忘れていた、本来の感覚を呼び戻してほしい。

担当教員によるコメント

小林菫さんのダイナミックな表現力が遺憾なく発揮された作品である。「温もり」や「抱擁感」「癒し」という既成概念を覆し、ニットの新たな可能性を提示する試みがなされている。手編みによる構造的な強さは観る者に圧倒的なエネルギーを感じさせ、織地との巧みなコンビネーションが5LOOKにさらなる奥行きを与えた。糸や編み地の重さ、温度が身体を覆う着用感は、私たちが忘れかけている本来の「纏う」感覚を呼び戻すかのようだ。服を単なる物質とせず、創り手の精神や素材に宿るパワーを着用者の心身へと立ち上げるデザインへと昇華させた。ニットへの深い愛情が、大胆な構成と繊細なディテールを融合させ、服の魅力に繋げている。独創性ある視点による表現力の高い作品である。

教授・平塚 聖子

小林 菫 《Telling the truth》 | 多摩美術大学