群泳

角田 真珠

作者によるコメント

意味から逃げ出した文字は

私の中を泳ぎ回る

魚群のように

千鳥のように

担当教員によるコメント

色彩と形態の乱舞、うねりに身も心も奪われるようである。遊泳する魚群をイメージして制作されたこれらのアルファベットは、読まれるためのものではない。言葉を表現するためのものでもない。しかもこれは、単純にかたちとしての文字をモチーフとした作品ではないと私は思う。文字が私たちの日常の一部となっていることそのもの、記号としての文字が言葉と結びつくダイナミズムそのものも含めてモチーフとなっている。文字を形以上の存在として捉えることは容易なことではないし、それをかたちとして表現することはもっと難しい。論理的な思考の積み重ねによって到達できる視点ではないと思う。角田さんは、そうした次元に、一種の感覚器官、造形器官として、到達したのだと思う。その背後には、自分の感覚を信じる、自分の造形を信じる強さと覚悟があると思う。

准教授・佐賀 一郎

角田 真珠 《群泳》 | 多摩美術大学