越境文字

藤田 聡文

作者によるコメント

たとえ交わることのない文化であっても、
文字という“かたち”の上では
触れ合うことができる。
なぜなら線は国境を、
その存在を知らぬまま超えてゆくから。

担当教員によるコメント

活字書体はそれが生まれた時代の技術的、社会的状況を反映して登場するものである。それゆえ活字書体の豊かさは文化的豊かさをあらわすものとして受け止められてきた。だが、技術的発展によって無数の活字書体が利用可能になった今日においても、私たちはやむことのない衝突、紛争、戦争を目撃しつづけている。文化的豊かさの無力さを痛感させずにはおかない今日の状況に対し、藤田さんは「たとえ交わることのない文化であっても、文字という “かたち” の上では、触れ合うことができる」と宣言する。制作された数々の、文化的バックグランドを与えられた活字書体の造形美が、美しさという共有可能な価値観を頼みとするグラフィックデザインの根幹を、私たちにあらためて教えてくれる。

准教授・佐賀 一郎

藤田 聡文 《越境文字》 | 多摩美術大学