私よりフライドチキンの方が価値がある
大久保 帆夏
作者によるコメント
私はよく、こんな妄想をします。
フライドチキンは食べる人を笑顔にしている。世界を幸せにしている。一方私は、誰の事も笑顔にできないで過ごす事もある。
私より、フライドチキンの方が価値がある、と。
しかし、この妄想は本当に事実でしょうか。
それを確かめるため、私は、ふたつの質問をする事にしました。「①大久保帆夏とフライドチキン。どちらの方が価値が高いか?」「②貴方は、自分自身とフライドチキン。どちらの方が価値が高いと思うか?」
そうして美大の友人11人、ニワトリ4羽にインタビューを行った体験記を、エッセイと映像、それに伴う展示空間という形で展示しました。
フライドチキンを通して自身の価値や、新たな価値観について向き合い、考える空間を目指しました。
担当教員によるコメント
現代日本において「フライドチキン」は、美味しく、安価で気軽に手に入る存在であると同時に、「命をいただく」行為の象徴的なメタファーでもある。本作はその名の通り「価値とは何か」という問いを起点に、(すこし自己肯定が苦手な)作者自身が、存在価値や哲学的立場を模索しつづけるワーク・イン・プログレス作品である。作者は答えがあるはずもない問いをあえて設定し、その手がかりを求めて他者へのインタビューを重ねていく。その対象は友人・知人から、フライドチキンの製造・販売者(取材は叶わなかった)、そして「鶏」にまで及んだ。それらを文字に起こす行為は、どこか可笑しくも私たちの価値観を揺さぶる。テキスト、映像、空間といった複数の表現形態を横断する構成も、この終わりのない問いに対して誠実な選択だろう。
非常勤講師・莇貴彦
- 作品名私よりフライドチキンの方が価値がある
- 作家名大久保 帆夏
- サイズH3500×W5570×D8800mm
- ジャンル本、映像、それに伴う展示空間
- 学科・専攻・コース
- カテゴリー









