サスペンドチェア

石川 佳莉

作者によるコメント

広さ、住む人数に関係なく、部屋は以下の二極化した必要最低限の性質で構成されがちである。
・仕事、作業をするための空間( 例:机)
・就寝するための空間( 例:ベッドや寝床)
この二つの性質で構成された部屋での生活は、PC における「起動」と「シャットダウン」の連続であり、非常に忙しない。
今回デザインしたこの椅子は「起動」と「シャットダウン」の中間である" サスペンド" の状態をつくり、
部屋に最小限の休憩の空間を生み出す。

サスペンドとは…メモリ以外の給電を可能な限り行わず、待機状態に入ることである。「呼ばれればすぐに動けるような状態で休む」状態。

担当教員によるコメント

椅子の座り心地を数値化するのは難しい。
ただし座面の高さと傾斜、奥行き、背面の傾斜、高さといった、基準寸法を変えることで、作業椅子から安楽椅子までのバリエーションを与えることはできる。
柔らかい素材の座り心地ではなく、硬めの素材でもフィットする座り心地の提案である。側面図がこの椅子の性格を表しており、成型合板から切り取ったレイヤーに座るデザインは、着座姿勢にフィットした座り心地を実現している。

教授・米谷 ひろし