Flow from media
大島 怜
作者によるコメント
今まで映像作品を何度か展示してきた際に、常に覚えていた違和感として「メディアに載せるだけになってしまっている」という、鑑賞者に対して受動的な展示になっていることが心の中で引っかかっていた。
作品の共有手段が幅広くなっている現代において、展示に足を運んでくれる方々に対して能動的になれる展示形態とはどういったものなのかという問いから生まれた作品。
「本来動くはずのないメディアが動く」というシンプルな発想から、メディアとコンテンツの間にインタラクションを起こすことで、平面的な映像を多面空中に浮遊する立体的な映像として的に魅力を探れるようにすることで、オフラインでの映像鑑賞体験でしか得られない体験を考察した。
担当教員によるコメント
デザインを行う際に、メディアの形が起点になることが多い。スマホなら?雑誌なら?テレビなら?サイネージなら? デザイナーはメディアの特性や画角を確認し、そのサイズの中で活動できる情報の量を見定めて、的確に設計していく。しかし作者はその発想を逆転した。この作品では表示される情報の性質に合わせて、メディアそのものが生き物のように有機的に動くのだ。このメディアが体現する不安定で不規則な揺らぎは私たちの生きる情報環境そのものを示唆しているように感じる。自分の伝えたいことをメディアの形式に合わせて削ぎ落としていないか?自分とメディアの関係を問いかけるための新しいメディアデザインの実験に成功した作品である。
講師・清水 淳子
- 作品名Flow from media
- 作家名大島 怜
- 作品情報インスタレーション
技法・素材:布、フロアファン、CYBERPACK、Touchdesigner
サイズ:H5000×W4500×D2000mm
動画に使用した楽曲:Fukagawa様『Deep Science』 - 学科・専攻・コース
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