けはいの温度
塚田 美帆
作者によるコメント
昔は近所の人々との交流の場として栄えていた銭湯ですが、今ではふらりと立ち寄って見知らぬ人と一緒に湯に浸かり、「一人」の時間を過ごす場へと変わりつつあります。だからといって、特に寂しさを感じないのは、顔も名前さえも知らない、「誰か」の存在が銭湯という場を温めているからなのではないでしょうか。そんな「誰か」の存在を、音と動きに着目して描写した映像と、それを「一人」で眺める空間を制作しました。
撮影協力:富士見湯(川崎市幸区)、潮田湯 (横浜市鶴見区)
担当教員によるコメント
作者の塚田美帆は子供の頃から銭湯が好きだった。地元でよく行く銭湯が廃業に追い込まれたことがこの作品のきっかけとなった。衰退していく銭湯を盛り上げたい。その思いを実現するためにアンケートや経営者への取材などを行い纏めた。しかし何か腑に落ちない。自分が感じていた身体も心も温まる場所のいい感じを伝えるにはこの方法は違う。そこでもう一度、自分が感じる銭湯の良さを考えた。その結果、空間での「人」の存在こそが銭湯の温かみにつながっていると気づく。着目したのは銭湯での音である。銭湯に響く音をフロマトペと命名して、モーショングラフィックスとして映像に纏めた。この映像を見ていると久しぶりに銭湯に行ってみようかなと思うのは私だけではないだろう。
教授・宮崎 光弘
作品動画
- 作品名けはいの温度
- 作家名塚田 美帆
- 作品情報映像、空間
技法・素材:木材、モニター、Adobe Illustrator、Adobe Premiere Pro、Adobe After Effects
サイズ:H2100×W2100×D2100mm - 学科・専攻・コース
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