木の言語(ことば)
黒田 花菜子
担当教員によるコメント
闇に射す僅かな光に浮かび上がるかの様に、黒田の描く巨木は深淵なまでに静謐な空間を彷徨っている。その静けさの中にあって、モチーフは極めて克明に描かれ、力強い。樹皮に刻まれた皺は深く、幹から幾重にも伸びる枝々、複雑に絡まる樹根の先の先まで、息を詰め筆致を見極めた丁寧な仕事は、自ずと観る者の心を惹き付ける。自然に対する深い情愛、いのちある全ての存在を慈しむ作者の熱い想いが、その中に込められている。黒田はこれまでも環境問題に強い関心を寄せて来た。社会に蔓延(はびこ)る目に見えないそうした「脅威」に対する憤りが、この作品のもう一つのテーマになっているのかもしれない。
教授・武田 州左
- 作品名木の言語(ことば)
- 作家名黒田 花菜子
- 作品情報技法・素材:高知麻紙、岩絵具、水干絵具、色鉛筆
寸法:H2273×W1818mm - 学科・専攻・コース
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