おいしい思い出
田中 彩華
作者によるコメント
「記憶をパッケージする」をコンセプトに、記憶と密接に結びついている食べ物をテーマに制作を行った。私達が物を食べている時、味や匂いから、ふとした瞬間に昔の記憶が鮮やかに呼び起こされる瞬間があると思う。生きていく上で、食べる行為と私達は切り離せない。そこで、今まで生きてきた22年間の中で、私に関わりの深い食べ物をイラストレーションで描き、パッケージすることで、私という人間を表現した。
担当教員によるコメント
様々な感応力ばかりを求められるこの時代に、田中彩華は創造の普遍性を4年間貫きとおした学生である。その卓越した描写へのこだわりと成果は入学時より他の学生達を圧倒していた。言い訳とインスタントにまとめあげるだけの空虚な仕事群に強く反発しながら「美術大学でデザインを学ぶ意味」を実践し続けた貴重な存在だったと思う。卒業制作のテーマは、自身の人生に影響を与えた“食の記憶”の再現である。変わらぬ丹念なイラストレーション表現と言葉のデザインが22枚のナイーブな包装紙に印刷されている。それをあえて豪華な桐の箱に閉じ込めた作品だ。学生最後の集大成として、遊び心に溢れる時代性をもしっかりと手に入れたようである。
教授・澤田 泰廣
- 作品名おいしい思い出
- 作家名田中 彩華
- 作品情報技法・素材:イラストレーション、パッケージ/包装紙、桐箱、シール、Illustrator、Photoshop
寸法:平面/H1000×W420mm(28点)、パッケージ/H54×W1066×D486mm - 学科・専攻・コース
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