Romantic Imperfections

Kang Jiyeon

担当教員によるコメント

苺の皮層にある痩果(種子のように見える部分)のくぼみから、赤い液体(血液のような)がしたたり落ちている。若々しい女性の姿を連想させる苺の質感とグロテスクな血液の、対極ともいえる対比。さらに白い苺は何を象徴するのか。さまざまなイメージの連鎖から成る作品である。それを読み解こうとしても、矛盾する要素に阻まれて明解に答えにたどり着くことができない。しかし、わからないけれど、われわれはこの作品について、共感をもって迎え入れられる不思議な存在感が伝わってくる。おそらく作者のなかにある多面的な想いや感情がそのまま表現されたのだと思われる。作者の意識のなかで、よくわからないことをわかってほしいと訴えているかのような作品だ。

准教授・森脇 裕之