隆起と共変
于 宙
作者によるコメント
変化は、さらなる変化を呼ぶ。
2024年の能登半島地震により、輪島市門前町黒島は海岸線から約240メートルも後退した。港も完全に陸地化し、本来の役割を失ってしまった。突然現れた見慣れない光景が地元の人々に不安や恐怖をもたらしている。
そこで、「自然と共生」という古くて新しいテーマに改めてを問い直した。地元住民が港への思いと記憶を大切にしながら、変化を前向きに受け入れるための長期計画を立てている。その一環として、使えなくなった黒島漁港の一部を活用し、今後も続く隆起に合わせて共変していく「隆起ミュージアム」を設計した。
自然とともに成長し、変化し続けるこの試みを通じて、人々が積極的に自然と向き合い、新たな暮らしのあり方を見つけていくことを期待している。
担当教員によるコメント
2024年の能登半島沖地震によって、石川県輪島市門前町黒島町において、最大4メートルの地盤隆起が確認された。陸地の増加により、海沿いの歴史的な集落は海から最大240メートル遠ざかることになり、港が完全に陸上になった場所は、今後の生活基盤の再構築が求められている。作者は復興支援ボランティアに参加し、そこでの関わりが本作に多大な影響を与えた。奥能登の沿岸で静かに営まれてきた暮らしは「世界農業遺産」に認定されており、地盤隆起によって陸上となった港を復興することが、黒島町にとって最優先なのか、、、難しい命題と向き合うことになった。記憶を留め隆起を可視化することで、ありのままの自然との対比、あるいは景観として記憶に残す試みである。
教授・米谷 ひろし
- 作品名隆起と共変
- 作家名于 宙
- 素材・技法素材=スチレンペーパー、アクリル板、MDF、スタイロフォーム
- サイズ模型①=H40×W841×D595mm/模型②=H70×W1189×D841mm/模型③=H150×W841×D595mm
- 支持体黒島支援隊
- ジャンル設計
- その他作品情報計画地:石川県輪島市門前町黒島町黒島漁港
模型①:1/2000
模型②:1/300
模型③:1/50 - 学科・専攻・コース
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