pool

梅津 遼

作者によるコメント

厚塗りした透明釉薬が焼成によって溶け、固まることで生まれた透明な塊を通して土の表情が見えてくる。実験的に陶芸を行う中でそんな不思議な美しさに出会った。一方で、器の表面を覆う釉薬が焼成によってガラス質へと変化していることは視覚的にも触覚的にも捉えにくいと感じた。そこで「ガラスと土」という関係として捉え直し、表現の可能性を追求した。磁土の上にガラスの粉を敷いて焼くことで、除冷中にガラスと磁土の収縮率に差が生まれ、力がぶつかることでガラスに貫入が入る。土の上に溜まったヒビの入った透明な塊は、人の手から離れた力を感じさせる。

担当教員によるコメント

梅津遼くんの研究は、陶磁器を使った新たな表現の探究から始まった。陶磁器はこれまで多くの作り手が様々なトライアルをしている素材である。それだけにオリジナリティを感じるアプローチを見つけることが難しい側面を持っていた。梅津くんが着目したのは、貫入(ヒビ割れ)である。貫入は、陶磁器と釉薬の収縮する力の違いで生じる現象であり、釉薬の本来の機能である陶磁器の表面を覆い隠して、水分の浸透を防ぐという効果が得にくくなる。一方で貫入が入った器は、それぞれに固有の美しい表情が生まれる。そのヒビは、収縮力という力強さで生まれているため、そこを強調することで、作品に独自の強さと時間の経過を感じさせる静謐さが生まれ出るように思う。

教授・濱田 芳治

梅津 遼 《pool》 | 多摩美術大学