into the cloud

小泉 創

作者によるコメント

大切なことは目に見えないところにあると思う。それはおそらく「粒子」という細かい世界で起こっている。粒子が変化し動きを伴うことで、小さかったはずのことが徐々に大きなエネルギーとなり、人々に感動を与える。「雲」というのは魅力的な存在である。しかしそんな雲も実際には水や氷の粒子の集まりでしかないのだ。小さな世界から始まる大きな感動が雲の中にはあると思う。

担当教員によるコメント

「雲」と言う水の粒子の集まり、そんなフラジャイルなモノに心惹かれると言うのではなく、彼は「粒子」が寄り集まるエネルギーとそれが引き起こす変幻自在な形態に惹かれたようだ。目には見えない物を表現しようと悪戦苦闘を重ねてきたことは当然のこととしても、最終形が見えない力を感じるまでに至らなかった、そのことは納得出来ないこととして強く彼の中に残ったと思う。実験段階で確認できた風の効果が上手く働かなかった。しかし、氷の分子をなぞった紙テープが作る構造体は不均衡でありながら均衡を保つ、そんな「雲」の持つ不確実さをよく表現できたのではないか。イメージやメッセージをどのように伝えていくのか、その難しさや迷いも含めてデザイナーとして道を歩む際の大きな糧になったと思う。

教授・富樫 克彦